マナカさん過去話。
人は私を睨む。道逝く人全てが。
ボロボロになった服と汚い髪がよりいっそう私を恐ろしくさせた。
私にはこんな憎い人間の血が流れているのだ。
誰が私をこんな運命にしたんだ。
肌は赤黒い液体まみれになり青い痣が無数にある。
こんなの見る位なら死んだ方がまだマシだ。
忌々しい無数の消え去りたい思い出。
なかったことにしたい記憶。
全部。全部…人間が悪いんだ。
全てが。
人間の血が私を蝕み悪魔ではなくなったら…
そのとき私はいないだろう。
いない所か誰の記憶の片隅にもいないだろう。
そんな嫌な記憶が脳に流れ込んだとき。
私の前にはエルフがいた。
金色の日の光のような髪。
紅いもみじみたいな眼。
綺麗な服。
私とはまるで真逆。
そんなエルフは長い光る手を差しのべて
こう、言った。
「私の旅に付いてこない?」
と。